国語科教員の「太宰治」と文豪たちのブログ

國學院大學日本文学科卒業の現国語科教員マンが日本の文学についての知識をお届けします。神話・随筆・物語…単純に本の紹介なんかもします。日本語に関する記事も載せていこうと思います!ぜひ読んでね!

梶井基次郎「愛撫」を読んで

今日、部活で長いこと体育館にいたのですが…





体育館って外より寒くないですか??


なんででしょうね?
日当たり悪いから?
そんな気がするだけ??



6時間ものあいだ外より寒い体育館にいると、さすがに風邪ひきます…。



さぁ、そんなことは置いといて、さっそく本の紹介をしていきます。


タイトルの通り、梶井基次郎さんの「愛撫」をご紹介!!


まずは梶井基次郎のご尊顔を拝してみましょう。



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なんていうか………






強そう(確信)










文字数約3000字、10分ほどで読み終わる短編小説です。



タイトルの「愛撫」



「愛撫」と調べると、ヤラシイサイトがたくさん出てきますが、eroticな内容は一切ございません。



本来は


「なでさすってかわいがること。また、なでさするばかりに深く愛すること。」


という意味ですね。




では基次郎は何を深く愛したのか。





それは、猫です。



スコティッシュフォールド
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可愛い……






猫を愛でるお話???





いや、違います。むしろ残酷なお話と捉える人もいるかもしれません。


猫好きな人にオススメしていいのか、すべきではないのか…大変微妙なところです。




しかし、なんの配慮もなく紹介させていただきますね(強制)




基次郎はある空想を始めます。





猫の耳を「切符切り」で思いっきり「パチン!」と挟んだらどうなるだろう?


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もう、猟奇殺人犯の思考ですよね(笑)




猫好きな皆さん、少し落ち着いてください!!実際にやったわけではなく、ただの空想ですよ。





猫の耳ってどうやら、引っ張っても圧迫しても痛がらないようです。


不思議に思った基次郎はある日、猫と遊んでいるときに暴挙に出ました。










「とうとうその耳を噛んでしまったのである。」



ヤバイwwwwwwwww





「噛まれるや否や、その下らない奴は、直ちに悲鳴をあげた。猫は耳を噛まれるのが一番痛いのである。悲鳴は最も微かなところからはじまる。だんだん強くするほど、だんだん強く鳴く。Crescendo のうまく出る――なんだか木管楽器のような気がする。」




猫が痛みで鳴いても、どんどん噛む力を強くする基次郎。何を血迷ったか、その鳴き声を木管楽器と見立てる基次郎。







ただの強そうな変態です。(確信)




次に基次郎はある空想をします。



猫の爪を全部切ったらどうなるか??


猫は木も登れなくなる。爪も研げない。

猫"らしさ"を失い、絶望する。

物を食べる元気を失い、死んでしまう。


という結論に至ります。
猫好きな皆さん、少し落ち着いてください!!実際にやったわけではなく、ただの空想ですよ。(大事なことだから2回目)




しかし、実際の猫にこんなことをしたらどうだろう??



「眼を抜かれても、髭を抜かれても猫は生きているにちがいない。」




しかし、猫の爪は
「この動物の活力であり、智慧であり、精霊であり、一切であることを私は信じて疑わないのである。」



猫の爪は、その猫のアイデンティティを表すものなんですかね。


存在意義というんですかね?

私たちにも顔、お金、仕事…たくさんありますが、それを失うときの精神的苦痛は計り知れないものがありますよね。




最後は、基次郎がある夢を見るシーンです。
Xという女性の部屋に基次郎はいます。
そこにはミュルというXの飼い猫もおります。




夢の中のXは、鏡台の前で化粧をしています。



パッとXを見ると………








「彼女は、なんと! 猫の手で顔へ白粉を塗っているのである。私はゾッとした。」



基次郎
「それなんです? 顔をコスっているもの?」
「いったい、これ、どうしたの!」



X
「わかっているじゃないの。これはミュルの前足よ」彼女の答えは平然としていた。


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ただのホラーですよ。




オカルトですよ。




しかし、基次郎はさすがに「非常に嫌な気になった。」と語っています。




良かった。そこは普通の思考の持ち主で。




でも…猫の足を模した化粧品……







現実にあったら結構売れそう。








●猫の耳の話
●猫の爪の話
●ある夢の話



以上が「愛撫」の構成になっております。



ユーモア溢れるこの作品は、かの川端康成から
「一匹の猫と足とを書いたに過ぎない小品が、私を打つた所以である。作者の感覚は異常に冴えてゐる。これだけ常識を離れて、しかもおのづから温かいのは、驚くべきことである。しかし何より気品。」


感覚が冴えてて、気品があるという高い評価。



確かに、だいぶブラックな内容が色々書かれていますが、猫に対しての愛情はなんか伝わってくるんですよね。



それが「気品」というものなんですかね。





実際に基次郎は、3匹の猫と暮らす毎日であったようです。






☆猫好きな人☆
☆興味ある人☆
☆メンタルが強い人☆


ぜひご一読あれ!!!!!


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